ドイツ参謀本部-その栄光と終焉


ドイツ参謀本部-その栄光と終焉 (祥伝社新書168)

おお、これは素晴らしい。読み物としても面白くわかりやすいし、何より登場する王族、貴族、軍人たちがかっこいい。ドイツというお国柄らしい、ストイックな彼らの姿がとても私のハートを鷲掴みにしました(笑
ドイツ史そのものはあまり詳しくないんで、戦争を通して近代史も同時に学べたのもよかった。

初めは無名だった参謀本部だけど、モルトケの時代に有名になってしまってから、意味をなさなくなったというのが興味深い。外国にまで知られるようになると、密かに練ったはずの戦略が筒抜けになるというのがそれ。
参謀本部があれば、戦争に勝てると国民は信じきっているのもあり、行動の一つ一つが注目されてしまって、身動きが取りづらくなるんですよね。組織というかシステムとして機能するようになると、世界大戦ではそれが仇になってしまって、リーダーが弱いために大局的な戦略を練れなくなったのです。数々の戦いには勝ってるのに……もったいない。
反対にヒトラーのときはリーダー(文官である首相)が強すぎるあまり、参謀本部が彼をコントロールできないものだから、ついに敗戦、というわけです。
文官と軍人が信用しあって、うまく参謀本部が機能していないと、戦争に勝てなくなるという。そんな側面があったのか、と納得の内容でした。

一番、ツボにはまったのが、フリードリヒ大王。大王、ってつくぐらいだからとても無骨な軍人王さまなのかな、と連想しがちですが、知れば知るほどそのアンバランスな人間性がたまらない。若い時は文学と音楽に耽溺して、とても戦争向きではないように思われるも、いざ、戦いになると自ら戦場で果敢に指揮をとるのだから、かっこよすぎ。
ただ天才にも弱点があったようで、それが女性というのがなんともいえない皮肉というか。もし王に子どもがいたら、もっとプロイセンの歴史は変わっていたかもしれないですね。それだけインパクトある人物