ビスマルク ドイツ帝国を築いた政治外交術


ビスマルク ドイツ帝国を築いた政治外交術 (中公新書)

レビューの評価は高いですが、読む人を選ぶかもしれません。以下にその理由。

内容的に新書では収まらない量だと思いました。長いビスマルクの生涯を一冊にまとめようとしたためでしょうか、これでもか、と内容が記述ばかりで教科書を読んでいるようでした。だから、ビスマルクが政治家になったあたりから、読むのが飽きてしまって中断。その後、再読です。
19世紀当時のプロイセン史をある程度知っているほうが、いくぶんか読みやすいかもしれません。
個人的にはビスマルクの人となりのエピソードを生い立ちだけでなく、その後をもっと知りたかったです。

教科書で「鉄血宰相」として知られるビスマルクのイメージと、実際の彼の志は異なっていたようです。
ドイツを帝国にしたのも、あくまでプロイセンを一つの国として強くしたかった。そしてまとまりのないドイツ諸侯と揉めるのですが、ビスマルクはいつも才気でたくみに解決し、切り抜けます。外交も同様。
その選択がやがてナショナリズムへとつながり、冷酷な宰相として知られるようになりました。だけど、ビスマルク自身はあくまでもプロイセンを守るためであり、戦争も避けることができず仕方なしに、といった具合です。
保守派と社会派に分かれたドイツ議会のなかを、臨機応変に調整しながらドイツをひとつに纏める手腕が、一番の読みどころです。ある意味、抜け駆け、と言ったほうが近いかも。

意志の強いビスマルクだったから、皇帝ともたびたび衝突してしまいます。晩年、即位したばかりのヴィルヘルム二世と意見の食い違いにより、引退しました。
ビスマルクが首相を辞めたことで、保守的なドイツが進歩的に生まれ変わる、と国民は期待したのですが、実際は逆でした。さらにナショナリズムが強くなり、ついに第一次世界大戦の引き金を皇帝が引いてしまうのです。
その後、亡くなったビスマルクが再評価され、ドイツを強大な帝国にした彼はさらに神格化されました。

ビスマルクについてざっと知りたいときにおすすめです。歴史的に有名でも、実際はどのような政治を行ったのかはあまり知られていないのではないでしょうか。